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自作スピーカーと測定  * 冬うさぎの晴耕雨読な日々 *

自作スピーカーと測定に関するブログです。

2014/05/06
OmniMicについて

Category :  PARC Audio Project
tags : 
最近は測定ツールとしてDaytonのOmniMicが人気のようです。私はOmniMicが発売される前に同じDaytonのEMM-6を導入していたのでOmniMicは使っていませんが、

・マイク本体にADCが内蔵されており、PCとはUSBで接続するだけで良い
・測定信号はCDに納められているのでサウンドジェネレータが不要

など、実に合理的に作られているなあと感心したものです。

最近は日本でもOmniMicを使った測定例を目にする機会が増えましたが、中には、あれ?と思うデータもあるので、少し調べてみました。

OmniMicのマニュアル(http://www.daytonaudio.com/OmniMicV4/index_OmniMic.html)によれば、3つの周波数特性の解析モードがあるようです。

"all": this setting shows a frequency response that includes all room echoes and reflections. In other words, the entire impulse response. In this view, impulse response itself is not shown.

これはインパルス応答を丸ごとフーリエ変換して周波数特性を求めるモードで、部屋の反射も含んだ特性になります。ARTAでいえばFR1モードに相当します。

"only to": for suppressing reflections. This is calculated only from the impulse response within the time selected. To select a different ending time, click the mouse at the desired time point within the impulse response graph. Impulse response information after the selected time will be excluded from the frequency response calculation. Select this time to exclude later reflections visible on the impulse response plot.

これはインパルス応答のうち反射波が到達するまでの時間領域のみをフーリエ変換して周波数特性を求めるモードで、いわゆるGated measurement、あるいは疑似無響室特性測定に相当します。私がARTAでやっているFar field測定です。OmniMicではデフォルトで5msのゲート時間が設定されているようです。

Lower frequencies can't be measured using this option, limited by the length of the time selected.

とあるように、Gated measurementでは低域の測定限界がゲート時間の逆数で制限されます。つまりゲート時間が5msであれば測定限界は200Hzです。

This mode works best when the OmniMic is relatively close to the loudspeakers.

そりゃまあそうなんですけど、こんな書き方したら誰もこのモードを使わないんじゃないでしょうか?

"blended": blends from the "only to" calculation at higher frequencies, to the "all" calculation at lower frequencies. In other words, this mode removes echoes when it can, and doesn't when it can't.

これはたぶんOmniMic特有の手法です。上記のようにGated measurementでは低域の測定限界が制限されますので、通常はNear field測定(こちらは逆に高域の測定限界に制約があります)のデータをつなぎ合わせて全帯域の周波数特性を求めます。この方法は"Testing Loudspeakers"に書かれており、またSpeaker workshopにもこの機能が実装されています。それに対し、OmniMicのblendedはゲート時間で決まる低域以下の領域は"all"のデータを使い、それより上の領域は"only to"のGated measurementのデータを使うという手法です。

うーん、私的には微妙ですね。

もしリスニングポジションでの特性を求めるならば"all"モードで測定すべきだし、クロスオーバーネットワークの設計などスピーカー単体の特性が必要な場合は"only to"でゲート時間を正しく設定して測定すべきではないでしょうか。

ここで注意を要するのは、ゲート時間を設定したからといって部屋の反射の影響のないデータが得られるとは限らない点です。たとえば5msのゲート時間を設定したならば、その5msの間はいかなる反射波も到達しないようにスピーカーとマイクと壁や天井の位置関係を決めないと意味がありません。ちなみに5msは日本の平均的な住宅の天井高さでは厳しい値です。

OmniMicは非常に簡便に使える反面、特にスピーカー単体の特性を測定する場合は測定原理を正しく理解した上で使わないと誤った結果を導きかねない、というのが私の印象です。



(この章おわり)

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コメント


 そうですね。一見便利そうなのですが、良く解かっていないと何を測っているか怪しくなります。
 Allだとインパルスが見えないので窓時間を大幅に拡張するbassWindowという隠れチェックボックスもあります。

 お話しのようにスピーカの性能を見るのと部屋を含めた総合特性を見るのも本質的には違うので、お手軽な測定ができるのも問題が有る面があるようです。
2014/05/07 09:09  ケン  URL  #VWFaYlLU  編集

Re: タイトルなし
ケンさん、こんばんは。コメントありがとうございます。

ところでOmniMicで歪み率測定もされているようですが、これはどういう原理で測定しているのでしょうか?測定信号はサイン波ですか?

私もARTAの姉妹ソフトのStepsを使って歪みを測定してみようと思い、マニュアルを読んでいるところです。

2014/05/07 22:09  Iridium17  URL  #-  編集


 歪測定信号はLongSineSweepと称していて、5,6秒のSineSweep信号です。

 ただ、周波数特性測定のSweptSineも周期が短いだけで同じようなSineSweepに見えるので、単純なスィープ測定かどうかは不明です。
2014/05/08 09:38  ケン  URL  #VWFaYlLU  編集


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