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自作スピーカーと測定  * 冬うさぎの晴耕雨読な日々 *

自作スピーカーと測定に関するブログです。

Category :  PARC Audio Project
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用語集の3つ目のお題はこれ。

Reverse null

クロスオーバーネットワークの次数、減衰スロープ、位相回転、クロス点のゲイン、ウーファー/ツィータの接続関係は以下のようになります。

次数  スロープ  位相回転  ゲイン  WF/TW接続
--------------------------
1次   6dB/oct  ± 45度   -3dB   正相
2次  12dB/oct) ± 90度   -6dB   逆相
3次  18dB/oct) ±135度   -3dB   正相
4次  24dB/oct) ±180度   -6dB   正相

こちらのFigure 13のベクトルダイヤグラムが分かりやすいです。

http://www.rane.com/note160.html

4th order Linkwitz-Riley(LR4)を例に取ると、クロスオーバーポイントでの位相はLPF、HPFそれぞれ180度回っているので、ウーファーとツィータの相対的な位相差は360度すなわちゼロと見なせます。したがってウーファーとツィータは正相接続することでフラットな周波数特性が得られます。

ここで敢えてウーファーとツィータを逆相接続すると、ウーファーとツィータの音圧がクロスオーバーポイントで打ち消し合って周波数特性に深いディップが生じます。これがReverse nullです。Reverse nullは正相接続したときのウーファーとツィータの位相がぴったり合っていなければ出ないので、Reverse nullが出ればLR4クロスオーバーネットワークが理論通りに動作していると見なすことができます。

Googleで"Reverse null"を画像検索するとたくさんの実例を見ることが出来ます。実はそのうちのいくつかはこのブログのデータだったりするのですが...

海外のフォーラムを読むと、Reverse nullが出ることが本当に重要なのか?といった否定的な議論も見かけますが、ZaphDIY Loudspeakersといった有名サイトの作例では必ずReverse nullのデータを掲載しています。私の前作のSEAS Excel2ウェイもReverse nullが出ますが、そのせいかマグネシウムコーンとソフトドームという組み合わせにもかかわらずウーファーとツィータのつながり感には何の問題も感じないので、聴感上の優位性もあるように思います。

ところでReverse nullが出るようなクロスオーバーネットワーク設計は簡単ではありません。まずドライバの裸特性も含めたAcoustic slopeがLR4になるように素子定数を決めるわけですが、それだけではダメで、ウーファーとツィータのAcoustic centerのオフセットの補正、いわゆるタイムアライメントを取る必要があります。これらの条件を満たしつつ、さらにバッフルステップ補正も織り込んでトータルでフラットな周波数特性に仕上げるのは根気の要る作業です。とはいえ最初にドライバの裸特性さえ正確に測っておけば設計作業はすべてシミュレーションで行えますし、この知的作業こそDIYスピーカーの醍醐味だと思うのですが、みなさんいかがでしょう。

ソナスファベールによれば『クロスオーバーネットワークはスピーカーの頭脳』だそうです。
いいこと言いますね。

さて、3回の用語集でAcoustic slope、4th order Linkwitz-Riley、Reverse nullを取り上げたのは、これから行うクロスオーバーネットワークの設計においてAcoustic slopeを4th order Linkwitz-RileyにしてかつReverse nullを出すことを目指すからです。

この週末はFar field測定に取りかかれそうです。



(つづく)


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テーマ:オーディオ - ジャンル:趣味・実用

コメント


 Speaker Workshopを使用して、ネットワークのシミュレーションを行うのでしょうか?
 シミュレーション結果と、作成後の測定結果を比較すると、結構正確だと思います。 
 操作方に癖があり、ドライバーのリバース接続方法が解らす、解決に1ヶ月程要した事がありましたが、良い結果が得られた時は、とても嬉しかったですね!
2014/03/15 09:50  seki  URL  #-  編集

Re: タイトルなし
sekiさん、こんばんは。

>  Speaker Workshopを使用して、ネットワークのシミュレーションを行うのでしょうか?
>  シミュレーション結果と、作成後の測定結果を比較すると、結構正確だと思います。

はい。SEASのときもSpeaker workshopのシミュレーション結果と完成したシステムの実測値がぴったり一致しました。Reverse nullも一致していましたので、かなり正確だと思います。
 
>  操作方に癖があり、ドライバーのリバース接続方法が解らす、解決に1ヶ月程要した事がありましたが、良い結果が得られた時は、とても嬉しかったですね!

Speaker workshopは英語圏の人の間でも使いづらいという評判のようです(笑)。それにマニュアルが無いに等しいのが困りますよね。


2014/03/15 22:42  Iridium17  URL  #-  編集


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