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自作スピーカーと測定  * 冬うさぎの晴耕雨読な日々 *

自作スピーカーと測定に関するブログです。

Category :  PARC Audio Project
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私が大嫌いな言葉に『クロスオーバーネットワークは必要悪』というのがあります。必要悪だから無いに越したことはない → だからフルレンジがベスト!というロジックです。

私はフルレンジが嫌いではありませんが、マルチウェイのクロスオーバーネットワーク技術こそスピーカービルダーがオリジナリティを発揮できる領域だと思っています。

しかし悲しいかな、この言葉のせいもあってか日本ではクロスオーバーネットワークに関する正しい技術情報が極端に不足しています。『クロスオーバーネットワーク早見表』とか電卓で計算できるような『ネットワーク定数の公式』が未だにまかり通ってるのが何よりの証左です。しかし海外ではアマチュアの作品でも殆どがマルチウェイですし、クロスオーバーネットワーク技術に重点を置いた作例も少なくありません。

有名サイトを二つ挙げておきます。このサイトをじっくり読むだけでかなり勉強になります。

http://www.zaphaudio.com/
http://www.troelsgravesen.dk/Diy_Loudspeaker_Projects.htm

前置きはさておき、PARC Audio projectのクロスオーバーネットワークを語るに際して、まず用語集から始めようと思います。

なにはさておき、第一回目は最も重要なこの単語から。

ACOUSTIC SLOPE

適当な日本語訳が見つかりませんが、音響的スロープとでも訳すのでしょうか。要は『スピーカーから出る音圧の周波数特性』のことです。なぜこの単語が重要かというと、クロスオーバーネットワークの減衰特性はAcoustic slopeで語らなければ意味がないからです。たとえば6dB/octのクロスオーバーネットワークはドライバから出る音圧が6dB/octの周波数特性を持つというのが本来の定義です。これは重要で、しかし最も理解されていない点だと思います。

ツィータにコンデンサを1個直列に入れただけでは6dB/octのAcoustic slopeにはなりません。何故なら、まずツィータのインピーダンスは一定ではない、ツィータの音圧特性も一定ではない、さらに音圧特性はバッフル回折の影響を受ける、等々、様々な要因が絡み合っているからです。さらに位相特性という問題もあります。この時点で汎用的な『クロスオーバーネットワーク早見表』や『ネットワーク定数の公式』は破綻します。

ではどうするか。エンクロージャに入れたドライバの音圧特性とインピーダンス特性を実測し、CADを使って所望のAcoustic slopeが得られるクロスオーバーネットワークを設計します。このようにクロスオーバーネットワークの設計と測定技術は不可分の関係にあります。


【参考文献】

"Loudspeaker Design Cookbook" Vance Dickason
"Loudspeaker Recipe" Vance Dickason



(つづく)


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