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自作スピーカーと測定  * 冬うさぎの晴耕雨読な日々 *

自作スピーカーと測定に関するブログです。

Category :  TangBand Project
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ダブルバスレフという形式は、故長岡鉄男氏が提唱したもののようです。私は長岡氏の著作を読んだことがないのですが、ネットで拾った情報によれば、ダブルバスレフとは、

一つのスピーカーボックスの中を2部屋に分けて、あたかもバスレフ型のボックスにもう一つバスレフのボックスをくっつけたような設計にして、各々のバスレフのダクトを違った周波数の増強に使ってワイドレンジに低音を増強させようとする欲張りな方法

だそうです。また、

ダブルバスレフは理論も計算式も確立されてない

という記述もよく見られます。

図1は通常のバスレフの動作を示したものです。

図1


それに対し、ダブルバスレフのねらいは図2に示すような動作だと思われます。

図2

すなわち、第1ダクトと第2ダクトの両方のアウトプットがユニットに付加されて低音が増強される、あるいは低域の再生限界が伸びるというものです。

しかし、私はずっとこの形式に疑問を抱いてきました。

図2をよく見ると、第1ダクトのアウトプットが第2ダクトを通って出てくることになっています。
しかし、このブログにあるTangBand W3-315SCのポートレスポンスの実測値を見ると分かるように、ダクトから出てくる音圧特性は三角形の山形をしており、一種のバンドパスフィルターのような特性をしています。これはバスレフがキャビネットとダクトの共振(ヘルムホルツ共振)を利用しているので当然の結果です。

ダブルバスレフの場合は2つのバスレフエンクロージャが直列になっているので、ユニットの背面から放射された音は第1キャビネットと第1ダクトで構成されたフィルターを通り、さらに第2キャビネットと第2ダクトで構成されたフィルターを通って、ようやくエンクロージャの外に放射されます。すなわち、2つのフィルター特性が重なった部分の音のみがダクトから放射されると考えられます。

この様子を示したのが図3です。

図3

このモデルが正しければ、ダブルバスレフの低音特性が通常のバスレフを超えることはありえず、むしろ劣ると考えられます。

別な言い方をすれば、ダブルバスレフはダクト特性の足し算ではなく掛け算になっている、と表現することも出来ます。

ではどうすればダクト特性の足し算を実現できるでしょうか?

図4の①ダブルダクト方式は長さの異なるダクトを2つ設けるというアイデアですが、残念ながらダクトをいくつ付けようとダクトの有効質量が変わるだけで、シングルダクトと同じ動作をします。

図4

図4の②ダブルチャンバー方式は、ひょっとするとダクト特性の足し算を実現するかも知れません。ただし中高音の出口がないのが玉に瑕です。


*** まとめ ***

ここまでの考察はあくまで私の推察であって、実験的に確認したものではありません。手元にダブルバスレフがあればポートレスポンスを測定することで実際の動作を確かめることが出来ますが...

ダブルバスレフを自作された方は、ぜひ一度ポートレスポンスを測定してみることをお勧めします。できればSpeaker WorkshopのようなMLS信号を使って。


もっとも、

 測定しなけりゃよかった...

なんてことになっても当方は関知しません。



(この章おわり)

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テーマ:オーディオ - ジャンル:趣味・実用

コメント


ダブルバスレフでここに 辿り尽きました
実は長岡さんの設計のダブルバスレフ16センチ
の自作スピーカーを作って2年が経ちました
心の奥底で ダブルの恩恵について ? が少しばかり
ばかりあります 低音感は二倍にはなってないんです
でも 普通に聞けます 低音増強にと作るとがっ
くりきますが フルレンジの味が好きですから
まぁ 良しとして聴けてます
2011/09/29 21:30  ペン太郎  URL  #-  編集


ペン太郎さんコメントありがとうございます。
当ブログへの初コメントです!

まあ我々はアマチュアですから何でも好きなものを作って楽しめば良いんですけどね。

2011/10/01 00:23  冬うさぎ  URL  #-  編集

承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
2011/11/12 21:28      #  編集

わたしも疑問
30年ぶりにスピーカーを作ろうかと思っているものですが、久しぶりに復帰すると、ダブルバスレフが有り、これは性能的に結構難しいと感じました。
昔、本を参考に、バックロードホーンを作った事が有りますが全く駄目でした。HP、youtubeを観ていると、本当に良い音質のものを作成されていそうなのは、2件ぐらいしか見つかりませんでした。冬うさぎ様のように、高い知識がある方がうらやましいです。
2012/05/16 15:24  神戸の弥太っぺ  URL  #-  編集

Re: わたしも疑問
神戸の弥太っぺ様

コメントありがとうございます。30年ぶりということは同年代ですかね。それとお住まいもご近所のようで...

キャビネットの形式は理論が確立されているオーソドックスなバスレフをお薦めします。それとLoudspeaker Design Cookbookのようなちゃんとしたテキストをお読みになることをお薦めします。残念ながら日本にはスピーカー自作に関するまともな本はありません。ドライバはTangBandのフルレンジが安いわりに音質も良いです。

測定をすると自作のおもしろさが倍増します。フルレンジシステムでインピーダンスやポートレスポンスを測定するだけでも結構楽しめますよ。

2012/05/16 22:14  Iridium17  URL  #-  編集

管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2013/07/19 19:13      #  編集

Re: 私もダブルバスレフは
こんばんは。
コメントありがとうございます。

ご指摘の現象は、日本社会に内在する根の深い問題を象徴しているように私には思えます。

たとえば、

・権威者に弱い → 批判精神が乏しい
・英語が苦手 → 海外の情報に疎くガラパゴス化、英語のソフトは敬遠
・理系離れ → 物事を感性で判断し、定量的に考えることができない

等々。

自作スピーカー界が進歩するためには、もっと測定測定に基づいた議論をしないとダメだと思いますね。それもスペアナとかではなく、ちゃんとしたインパルス応答測定です。

2013/07/20 20:15  Iridium17  URL  #-  編集


聴感で合わせた、で良いのかな
自作スピーカーでは明らかに
フラットじゃないスピーカーが結構あるんですが
その音が気に入ったとしても、データが無いと
再現出来ないし、次に繋がらないと思います
2013/07/24 22:14  reira  URL  #JalddpaA  編集

Re: タイトルなし
reiraさん、こんばんは。

私も長い間、JBL LE-8Tというフルレンジを使っていましたが、フラットじゃないドライバはソースを選ぶ傾向が強いですね。あるソースではすごく良い音だと思っても、別のソースだとうまく鳴らなかったり。


2013/07/25 22:01  Iridium17  URL  #-  編集


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