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自作スピーカーと測定  * 冬うさぎの晴耕雨読な日々 *

自作スピーカーと測定に関するブログです。

Category :  SEAS Excel Project
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今回設計したクロスオーバーネットワークのキモは、バッフル回折を補正するためにLPFに2.5mHという大きなインダクタを使うことです。

さて、このインダクタには何を使うか?

必要なのは2.5mHですが、より一般的な2.2mHで比較検討をしてみます。

1) ERSE 2.2mH 14 AWG Perfect Layer Inductor(0.33Ω)
 定番商品です。初代および二代目ネットワークではこれの1.2mHを使っていました。

2) Jantzen 2.2mH 14 AWG Copper Foil Inductor(0.40Ω)
 表皮効果を低減するために導体として銅箔を使った製品ですが、そもそも表皮効果は無線周波数領域で問題になる現象で、オーディオ領域では問題になりません。このあたり、キャッチコピーに惑わされず、電磁気学に基づいた定量的な判断が必要です。高価なわりに音質評価がいまひとつ芳しくないのはDCRが高いせいでしょうか。

3) Jantzen 2.2mH 14 AWG C-Coil Toroidal Inductor(0.06Ω
 これも高価な製品です。トロイダルコアを使っているため漏洩磁束がなく、所定のインダクタンスを得るための巻線数が少なくて済むため、DCRが非常に低いのが特徴です。その一方で磁束密度は高いと思われ、コアが飽和しないかちょっと心配になります。ちなみにコアはフェライトではなく鉄粉系のようです。

4) ERSE Super Q 2.5mH 14 AWG Inductor(0.113Ω)
 実は今回採用したのがこれ。コア材は一般的な方向性珪素鋼板ですが、コアをH型にすることで漏洩磁束を少なくした製品です。Parts-Expressでは16 AWGの製品しか扱っていないのですが、どうしても14 AWGが欲しかったのでErse Audioから直接購入しました。日本でSuper Qの14 AWGを使った作例は私のSEAS Excelが最初かも知れません。


インダクタに関して、日本では、

 鉄心コイル = 歪む = 安物
 鉄心コイルを使うやつ = 無知 = 素人


という図式があるようですが、これまでの経験からウーファーと直列に入るインダクタに関してはDCRが少ないことが最も重要だと感じています。鉄心コアの歪みは確かに存在しますが、それが問題になるのはコアボリュームの小さいコイルに大入力をぶち込んだ場合です。一方、インダクタのDCRによる音質劣化は音圧レベルに関係なく常に生じます。

スピーカー作りはエンジニアリングの一種ですから、感性だけに頼っていると失敗することを忘れてはいけません。



(つづく)

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テーマ:オーディオ - ジャンル:趣味・実用

コメント

Port
Iridium17 様

又々レベルの低い質問ですが、Portが共振してその形状により、共振がメインと位相がずれる事により、悪い影響が有る事があるのでしょうか。
また、Portをバッフル側にするか、背面にするかにより違いはあるのでしょうか。

私の空論に過ぎないのですが、如何なのでしょうか。
 
2012/10/12 22:04  神戸の弥太っぺ  URL  #tHX44QXM  編集

Re: Port
神戸の弥太っぺ様

こんばんは。

ご質問の意味が解りかねる部分があるのですが、ポート自体が共鳴を起こすことはあります。実は拙作でも40Hz付近の本来の共振(ポートとキャビネットの共振)以外に、900Hzあたりにポート自体の共鳴と思われるピークが見られます。もちろんこれはない方がよいのですが、どうすれば対策できるのか分かりません。TangBandの時にはエルボを使ってポートを曲げてみましたが、かえって悪くなりました。

http://iridium17.blog96.fc2.com/blog-date-20100424.html

またポートを前面にするか背面にするかは、どちらでも良いようです。ただ、フレアポートはお薦めします。うちのように小型キャビネットの場合は前面にポートを付けるだけの面積がないので、必然的に背面になりました。

ご参考になれば幸いです。

2012/10/12 23:29  Iridium17  URL  #-  編集

位相
神戸の弥太っぺ様

こんばんは。

クロスオーバーネットワークとツィータの極性の件ですが、

-6db/oct(1次)の場合はクロスオーバーポイントでの位相差が90°になりますので正相接続で-3dbクロスとすればフラットな周波数特性が得られます。

-12db/oct(2次)の場合はクロスオーバーポイントでの位相差が180°になりますので逆相接続で-6dbクロスとします。

-18db/oct(3次)の場合はクロスオーバーポイントでの位相差が270°になりますので正相接続で-3dbクロスとします。

-24db/oct(4次)の場合はクロスオーバーポイントでの位相差が360°になりますので正相接続で-6dbクロスとします。

ここで、日本国内の本やサイトでよく目にする解説では、LまたはCを1個使うのが-6db/oct、LとCを1個ずつ合計2個使うのが-12db/octというように単純に書かれているケースがほとんどですが、実際の減衰特性はフィルター回路だけで決まるのではなく、LPFやHPFの減衰カーブにドライバ自体の減衰カーブが合わさったものになります。そのため私の作例のようにフィルター回路は2次で、それにドライバの減衰特性が合わさって結果的に4次の減衰特性を得るということも可能なのです。ただし実測が不可欠です。

さて、私の作例も含めて海外の自作2ウェイシステムでは4次のLinkwitz-Riley(4th order L-R)の減衰特性を採用するのが定番になっています。その理由はLoudspeaker Design Cookbookに書いてありますが、神戸の弥太っぺ様の場合もこれを採用することを強くお薦めします。そうすれば失敗の可能性はかなり減ります。またその場合、おそらくフィルター回路は私の作例と同じくLPFもHPFも2次でいけるのではないかと思います。

ご参考になれば幸いです。

2012/10/25 22:41  Iridium17  URL  #-  編集

位相
Iridium17 様

もう少し考えてから質問しようと思い消しました。位相の回答を、頂いたのを今まで知りませんでした。有難う御座います。疑問点は、解説頂いた所です。

レベルの低い質問ばかりで、Iridium17様、そして本ブログを御覧の方には、申し訳御座いません。段々分って来ました。
2012/10/28 06:12  神戸の弥太っぺ  URL  #tHX44QXM  編集

位相
Iridium17 様

今は、まだスピーカーの計画とパーツの購入とで明け暮れています。とりあえず、M shopで設計して頂いたX-overで製作し、LIMP、ARTAで計測し、SpeakerWorkshopでシュミレーション致します。

それからLoudspeaker Design Cookbookを読んで行きたいと考えています。御教授有難う御座います。
2012/10/29 02:12  神戸の弥太っぺ  URL  #tHX44QXM  編集


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