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自作スピーカーと測定  * 冬うさぎの晴耕雨読な日々 *

自作スピーカーと測定に関するブログです。

Category :  PARC Audio Project
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ARTAはどうやって周波数特性を求めているか?というのが今回のテーマです。

ARTAのマニュアルには測定原理に関する理論的な記載がありますが、信号処理を学んだ人でないと理解するのは難しいでしょう。かく言う私は信号処理以前に数学が超苦手なのですが、MDFの加工を待つ間、少し勉強してみようと思います。

周波数特性を求めるという行為を難しく言うと伝達関数を推定するということになります。
ある線形な系の入力をX(f) 、出力をY(f) としたとき、伝達関数は次式で表されます。ここまでは直感的に分かりやすいですよね。

Figure1a.gif

fig1.gif

ここでX(f) とかY(f) はインパルス応答をフーリエ変換したもので、複素数になります。これでは計算がやりにくい(たぶん)ので、分母と分子にX(f) の複素共役をかけてやります。このようにして推定した伝達関数はH1 estimatorと呼ばれます。

fig2.gif

X(f) の代わりにY(f) の複素共役をかけることも出来て、このときの伝達関数はH2 estimatorと呼ばれます。またSxy はクロススペクトル、Sxx Syy はパワースペクトルと呼ばれます。

fig3.gif

H1 estimatorとH2 estimatorではノイズに対する影響が異なり、H1 estimatorは出力側に乗るノイズの影響が少なく、H2 estimatorは入力側に乗るノイズの影響が少ないという特徴があります。スピーカーの測定を行う場合、DACやアンプ系からのノイズよりも環境騒音のほうが圧倒的に大きいため、ARTAではH1 estimatorを用いています。このあたりがARTAが測定環境のノイズに強い(らしい)理由でしょうか。

もし理想的にノイズのない測定であればH1(f) = H2(f) となるはずですが、通常はH1(f) < H2(f) です。H2とH1の比からコヒレンス関数が求められ、伝達関数の推定結果の信頼度の目安になります。私は使ったことがありませんが、ARTAには周波数特性とともにコヒレンス関数をプロットする機能があるので、次の機会に試してみようと思います。

ところで、上記のFFT解析手法は決して特殊なものではなく、参考リンクにあるように産業界で広く使われているものです。こういった面でもARTAは安心して使えます。

【参考】
http://www.onosokki.co.jp/HP-WK/c_support/tech_term/cf_fft/cf3_3_2.htm
http://www.aandd.co.jp/adhome/products/nvh_analysis/fft/fft02.html



(この章おわり)






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