FC2ブログ

自作スピーカーと測定  * 冬うさぎの晴耕雨読な日々 *

自作スピーカーと測定に関するブログです。

Category :  SEAS Excel Project
tags : 
クロスオーバーネットワークに関しては、言いたい事がたくさんあります。

クロスオーバーネットワークに関して、日本の自作スピーカー界は恐ろしく前時代的です。こうなってしまった理由のひとつは、日本国内で絶大な影響力を持つプロの評論がクロスオーバーネットワーク技術に目を背けてきたことがあると思います。一方、ネットを検索すれば海外には有益な情報がいくらでもあるのですが、現実には日本人の多くは英語が苦手です。その結果、日本の自作スピーカー界は評論家の言うがままに”独自”の進化を遂げました。すなわち、フルレンジ崇拝、クロスオーバーネットワーク邪悪説、特殊なキャビネット形式、等々。ご多分に漏れず、自作スピーカー界もガラパゴス化していたというわけです。

クロスオーバーネットワークに話を戻すと、”クロスオーバーネットワーク” ”計算”でネット検索してみると、まあ出るわ出るわ、素子定数の計算式、Excelワークシート、早見表までありました。残念ながら、これらを使ってネットワークを設計したとしても、あなたのスピーカーの周波数特性をフラットに仕上げることはできません。

なぜなら、

1) これらの計算式はスピーカーの周波数特性が完璧に平坦であり、かつインピーダンスが直流抵抗に等しいという前提に立っているが、このような理想的なドライバは現実には存在しない。

2) 仮に、周波数特性が完璧に平坦なドライバがあったとしても、それをエンクロージャに入れた途端にバッフル回折による周波数特性の凹凸が生じる。

3) 6db/octとか12db/octといったクロスオーバーネットワークの減衰特性が意味するものはドライバから発する音圧の減衰特性であって、スピーカーに与えられる電圧の減衰特性ではない。


特に最後の3)は考えてみれば至極当たり前のことなのですが、最も理解されていない点だと思います。

つまり、電卓だけではクロスオーバーネットワークの設計は不可能なのです。

かといって、クロスオーバーネットワークは聴感だけで作り上げるものでもありませんし、勘と経験の職人芸だけで作るものでもありません。クロスオーバーネットワークの設計は測定とCAE(Computer Aided Design)を用いて行うエンジニアリングです。

幸いなことに、少々分かりにくいとはいえ多機能なSpeaker Workshopや、非常に洗練されたARTAといったソフトウェアがありますし、高性能なオーディオインターフェースや校正データ付き測定マイクも安価に入手できます。これらを使いこなすには多少骨が折れますが、たまらなくおもしろいのもまた事実です。



(つづく)


関連記事
スポンサーサイト