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自作スピーカーと測定  * 冬うさぎの晴耕雨読な日々 *

自作スピーカーと測定に関するブログです。

Category :  SEAS Excel Project
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Speaker Workshopを用いてネットワークを再々設計するに際して、まず最初に検討したのはバッフル回折の補正です。下のグラフはEdgeというフリーウェアを用いて我が家のエンクロージャのバッフル回折を計算した結果ですが、グラフの左端(20Hz)に対して1kHzで約+8dbの音圧上昇が見られます。これがバッフル回折による影響で、これをクロスオーバーネットワークで補正してフラットな特性に仕上げるわけです。英語ではBaffle Step Compensation、略してBSCと称されています。

Edge.jpg


通常、バッフル回折はウーファーと直列に入るインダクタの値をかなり大きめに設定することで補正します。下にデータを示します。

 青 : W15CY001(キャビネット入り)の特性
 赤 : 現行のネットワーク(L=1.2mH、C=17.2uF)
 緑 : インダクタを大きくした例(L=2.5mH、C=15uF)
 黒 : 4th order Linkwitz-Riley(@1.8kHz)の減衰特性

青のグラフは左端(200Hz)に対して1kHzで約7db上昇しており、Edgeの計算結果とほぼ一致します。赤は現行のネットワークですが、補正が足らないことが分かります。これは設計段階から薄々感じていたのですが、初期のSpeaker Workshopによるガタガタの測定結果ではよく分からなかった部分です。緑はインダクタの値を2.5mHと大きくした場合ですが、バッフル回折がうまく補正されて4次のLinkwitz-Rileyに近い減衰特性が得られています。ちなみにZaphの作例でもここには2.2~2.7mHを使っている例が多く見られます。

1.2mH vs 2.5mH.jpg


さて、以上のデータから以下の重要なことが分かります。

1. 電卓だけではまともなクロスオーバーネットワークは作れない

 ネットワーク素子の”計算式”やら”計算プログラム”で何をどう計算しても2.5mHなんで値は出てきません。またバッフル回折を補正しなければフラットな周波数特性を得ることは出来ません。

2. 2次のフィルター回路でも4次の減衰スロープが実現できる

 上記の計算例はいずれもノッチフィルターを除けばインダクタとキャパシタを1個ずつ使っただけの2次のフィルター回路なのですが、バッフル回折補正やウーファー自体の高域の減衰が加わった結果、音圧特性では24db/octの減衰特性が得られています。ただし、こういった芸当はドライバの実測データとネットワークシミュレータが無ければ出来ません。

3. ウーファーはおいしい部分だけ使う

 8.3kHzに派手なピークを持つW15CY001ですが、24db/octという急峻な減衰特性のおかげで暴れた領域は-40db程度にまで減衰しています。このようにウーファーの汚い部分はばっさり切り捨てて、おいしい部分だけを使うのが正しいやり方なのです。ウーファーの上は出しっぱなしの方が元気がよいという俗説がありますが、実は汚い中高音を聴いているだけなのかもしれませんよ。



(つづく)




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