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自作スピーカーと測定  * 冬うさぎの晴耕雨読な日々 *

自作スピーカーと測定に関するブログです。

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最近、MJ誌にクロスオーバーネットワークやアナログチャンネルデバイダーの記事が掲載されているので、関心を持って見ていたのですが、残念ながら失望を禁じ得ませんでした。少なくとも20年前から何も進歩していないのではないかと。

そこで、すべて「マスターブック」に書いてあるのですが、敢えて記事にしてみようと思います。

ここではクロスオーバーネットワークとアナログチャンネルデバイダーを区別せず、単に”ネットワーク”と呼ぶことにします。

MJに限らず、ウェブ上でネットワークについて解説しているサイトの99%は以下の論理を展開しているようです。

いわく、

・6dB/octのネットワークは位相ひずみがなく、元の波形を再現できるので理想的

・12dB/octのネットワークは理論的にはウーファーとツィーターを逆相接続するが、これは音質上好ましくないため、正相型ネットワークが考案された


等々...

ここで突然ですが、この”論理”を信奉している方々に質問です。
下のグラフの横軸は周波数です。では、縦軸は何の値を示しているのでしょうか?

crossover_slope360
「自作スピーカー 測定・Xover設計表マスターブック」より引用



(つづく)



テーマ:オーディオ - ジャンル:趣味・実用

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開催日時:2019年11月24日(日) 10:00~16:00

開催場所:小野市立コミュニケーションセンターおの(兵庫県小野市)

入場無料



ポスター


早いもので、今回で第6回目となりました。
私は例によってお手伝いだけですが、今回はメディアの取材があるかも ...

無料駐車場がありますので、ぜひ奮ってお越しください。




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フォステクスの新ユニットが話題になっているようなので、私も論評してみました。

まずはツィータのT250Aから。

○ フランジが円形になった
フォステクスの一部のツィータは異形フランジを採用しており、フラッシュマウントが難しい形状でした。フォステクスの開発陣はエッジディフラクションという現象をご存じないのか、なんでこんなフランジにしたのか謎ですが、ともかく新シリーズで円形フランジになったのは喜ばしいことです。

× 周波数特性のフラットネスが劣悪
はっきり言って現代の新製品とは思えないような特性です。ピーク/ディップが激しいのは振動板の共振によるものと思われ、おそらくCumulative Spectral Decayも賑やかでしょう。

× 価格競争力がゼロ
お値段は130,000円(1個)だそうですが、競合する製品としては
Scanspeak Illuminator D3004/6640-00 1" Tweeter Beryllium Dome Tweeter - 479.2USD(52,712円)
Seas Excel T29B001 Beryllium Dome Tweeter (E0058) - 546.25USD(60,875円)
Satori TW29BN-B Beryllium Dome Tweeter - 385.0USD(42,350円)
※1USD=110円で計算
まあ、私は買わないからいいけどね。

× 相変わらず周波数特性チャートの縦軸を80dBスパンで表示している
周波数特性のグラフの表示方法は国際規格IEC 60268-1 または JIS C 5532:2014 によって縦軸のスパンは50dB とすることが決められており、ScanspeakやSEAS、SB Acousticsといったまともなメーカーはこれを守っています。一方、縦軸のスパンを大きくした方が周波数特性の凹凸が目立たないので、アラを隠したいメーカーは大きなスパンを採用するようです。


次はウーファーのW160A-HR。

○ T/Sパラメータが公開されるようになった
フォステクスはこれまで海外サイトではT/Sパラメータを公開し、国内サイトでは旧式のm0、Q0を公開するという二枚舌ユーザーサービスを展開していましたが、このユニットに限って国内向けにもT/Sパラメータが公開されるようになりました。ただしXmaxが公開されていないのでご自慢のエッジの性能が分からないのは残念というか何というか...

× 周波数特性のフラットネスが劣悪
特に700~1200Hzのディップはクロスオーバーネットワークでの補正が困難で、完成したシステムにも後遺症が残ると思われます。インピーダンス特性に不整脈が見られることから、あちこちで共振が生じていることが示唆されます。おそらくCSDも賑やかなことでしょう。

× 価格競争力がゼロ
お値段は150,000円(1個)だそうですが、競合する製品としては
Scanspeak Ellipticor 18WE/8542T-00, 7" Midwoofer - 708.1USD(77,891円)
ScanSpeak Illuminator 18WU/8741T 7" Woofer - 337.60USD(37,136円)
まあ私は買わないから(以下略)

× 相変わらず周波数特性チャートの縦軸を80dBスパンで表示している
(以下略)

この製品に限らず、フォステクスは周波数特性のフラットネスを軽視しすぎていると思います。またこの製品に関して言えば海外の競合製品の2倍以上という価格設定も正直理解に苦しみます。これも鎖国のなせる技でしょうかね。それでも買うマニアがいるだろうという読みであるなら、それはあまりにユーザーをバカにした話ではないでしょうか。

明治時代、自分の作品にストラディバリよりも高い値段を付けて売った日本人バイオリン製作者がいたそうです。



(この章おわり)


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Yさん所有のGOODMANS AXIOM22mk2のエンクロージャー(製作はSさん)が出来上がったので測定を行いました。

グッドマン完成

当初のポートレスポンス(緑ライン)には270Hzにエンクロージャー天地方向の定在波が見えていましたので、エンクロージャー底面に50mm厚のポリエステル吸音材を追加したところ、完全ではありませんが軽減されました。(黄色ライン)

市販品/自作を問わず、エンクロージャーの底面近くにバスレフポートを配置している例をよく見かけますが、定在波が盛大に漏れ出ているんじゃないかと他人事ながら気になります。(特にトールボーイ型)

Port_response

こちらが個体Aのトータル特性。Near fieldとFar fiendのデータ合成はVituixCADで行いました。

Axiom22mk2_A_TotalResponse_480

こちらが個体Bのトータル特性。

Axiom22mk2_B_TotalResponse_480

60Hz~10kHzの範囲で概ね±6dBに収まっており、なかなか優秀です。1~2kHzのピーク/ディップはどちらの個体にも出ているのでダブルコーンの干渉ではないかと思います。

さて試聴です。ピアノ、管楽器、ボーカル、Jazz、クラシック、色々聴いてみました。30cmという現代ではお目にかかれない大口径フルレンジですが、帯域の狭さを感じることはなく、ツィータが欲しいとは思いませんでした。低域は重低音こそ出ませんがベースの音階は明瞭で過不足を感じさせません。全ての音域において『足るを知る』という言葉を思い起こさせる、そんなスピーカーです。

やはり古い録音の再生に味があり、Ray Bryant Trioなんか最高です。

このGOODMANSのようなヴィンテージユニットが開発された頃はまだT/Sパラメータによるエンクロージャー設計技術が確立されていなかったこともあり、当時の推奨箱の設計に固執するのはあまり意味がないように思えます。そこで今回はT/Sパラメータを実測して最適なエンクロージャー容積とチューニング周波数を決めたわけですが、こういった形でヴィンテージユニットの「再生」に携われたのは”測定派スピーカービルダー”として幸せなことです。



(この章おわり)



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てつさんが、Stereophile誌の総説"Measuring Loudspeakers"の和訳の連載を始められました。

この一連の記事はStereophile誌の前(だったんですね)編集長、John Atkinson氏が1998年のスピーカーの特性評価について解説したものです。20年以上前の記事ですが、スピーカーを測定して評価するという行為をこれだけ明確に説いた記事は他に見当たりません。月刊Stereo誌8月号で紹介したデンマークの有名自作スピーカーサイトDIY Loudspeaker ProjectのTroels Gravesen氏も推奨しています。

ぜひ皆さん、てつさんのサイトで読んでみてください。

ちなみにこの記事を要約した論文が1997年のAESで発表されています。

Atkinson1

Atkinson3

それにしてもStereophile誌、コンシューマー向けの雑誌でありながら徹底した測定と解説を行っていること、主観的評価(試聴)と客観的評価(測定)のそれぞれの役割をきちんと定義していること、良い点も悪い点も遠慮なく暴いちゃうこと、等々、さすがcritical thinkingの国ですな。

それにひきかえ...(以下略)

最近たまたま目にしたフォステクスのFE83NVというフルレンジユニット、音の良し悪しはさておき、あの異常な中域のディップについてどうして誰も語らないの?



(この章おわり)




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