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自作スピーカーと測定  * 冬うさぎの晴耕雨読な日々 *

自作スピーカーと測定に関するブログです。

Category :  オーディオ
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いわゆる「スピーカーユニットの周波数特性」には2つの種類があります。

Acoustic slope:スピーカーユニットから放射される音圧の周波数特性
Electrical slope:スピーカーユニットの端子に加わる電圧の周波数特性


我々が音楽を聴く上でどちらが重要か、言うまでもないでしょう。

言っておきますが、Acoustic slopeとかElectrical slopeといった概念は私が独自に考え出したものではなく、広く世界(日本以外)で知られている概念です。ググってみれば分かります。

Acoustic_slop360
「自作スピーカー 測定・Xover設計表マスターブック」より引用

Electrical slopeとはフィルターの伝達関数そのものです。ただし、アナログチャンデバの場合は問題ないのですが、クロスオーバーネットワークの場合はフィルターの負荷となるユニットのインピーダンス特性が単純な抵抗ではない点に注意を要します。

8Ωとか4Ωといったユニットの公称インピーダンスからフィルター定数を計算する「ネットワーク計算式」を使うのは最悪です。この方式に従うと、ALTEC 416-8Bも、Scan-Speak 18W8531G00も、Fostex FE83NVも、みーんな同じフィルター回路でオッケー!というトンデモナイ結論が導かれるのです。

MJの安井章氏の一連の記事はこの点に焦点を当て、インピーダンス特性を等価回路で表現することにより、より正確に伝達関数を求めるというアプローチだと私は理解しています。ただ、Speaker WorkshopやVituixCAD、LspCAD、SoundEasyといったスピーカー統合設計ソフトウェアはすべてユニットのインピーダンスカーブ(実測値)をZMAファイルとして読み込んで伝達関数を計算していますので、特に新しい考え方というわけではないと思います。

いずれにせよ、雑誌の記事にしろ、ウェブ上の情報にしろ、ユニットの周波数特性/位相特性に言及していない記事は、インピーダンス特性(殆どの場合は公称インピーダンス)から求めたElectrical slopeでクロスオーバーネットワークの特性を論じていると思われます。

実は、いまだにこういった議論に終始しているのは世界でも日本ぐらいで、私の手元にあるLoudspeaker Design Cookbook 5th edition(1995)では、既に全面的にAcoustic slopeにもとづくネットワーク設計に移行しています。



(つづく)



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Category :  オーディオ
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最近、MJ誌にクロスオーバーネットワークやアナログチャンネルデバイダーの記事が掲載されているので、関心を持って見ていたのですが、残念ながら失望を禁じ得ませんでした。少なくとも20年前から何も進歩していないのではないかと。

そこで、すべて「マスターブック」に書いてあるのですが、敢えて記事にしてみようと思います。

ここではクロスオーバーネットワークとアナログチャンネルデバイダーを区別せず、単に”ネットワーク”と呼ぶことにします。

MJに限らず、ウェブ上でネットワークについて解説しているサイトの99%は以下の論理を展開しているようです。

いわく、

・6dB/octのネットワークは位相ひずみがなく、元の波形を再現できるので理想的

・12dB/octのネットワークは理論的にはウーファーとツィーターを逆相接続するが、これは音質上好ましくないため、正相型ネットワークが考案された


等々...

ここで突然ですが、この”論理”を信奉している方々に質問です。
下のグラフの横軸は周波数です。では、縦軸は何の値を示しているのでしょうか?

crossover_slope360
「自作スピーカー 測定・Xover設計表マスターブック」より引用



(つづく)



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Category :  マスターブック
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このたび『自作スピーカー エンクロージャー設計法マスターブック』の2回目の増刷を行いました。

マスターブックシリーズ第二弾となる本書は2018年9月に初版を出版し、同年10月に第2版第1刷を発行しましたので、発売から今日までの約1年3か月の間に400冊を出荷したことになります。本書をお買い上げいただいた皆様、ならにび販売をサポートして頂いているコイズミ無線様、共立電子産業様に厚くお礼申し上げます。

増刷御礼


シリーズ第三弾となる次期マスターブックの制作も佳境に入っていますが、ここで改めてマスターブックのミッションを掲げておきたいと思います。


★ マスターブックのミッション
  グローバルスタンダードなスピーカー設計技術を日本語で提供します

★ マスターブックの約束
  筆者の個人的なポリシーや思い入れではなく、文献や実測データに裏付けられた
  事実を記載します

★ マスターブックから得られるもの
  これまで知らなかった新しいスピーカー作りの楽しさを知ることが出来ます


マスターブックはこんな方にお薦めします。

・ スピーカーの設計法をきちんと学びたい方
・ スピーカーなんて感性で作ればいいやん!と思っている方
・ 市販の高級品を凌ぐスピーカーを自作してみたい方


マスターブックシリーズはコイズミ無線および共立電子産業(シリコンハウス、エレショップ、デジット)の各店舗および通販サイトで購入可能です。またKindleで電子版も発売中です。



(この章おわり)





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Category :  オーディオ
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開催日時:2019年11月24日(日) 10:00~16:00

開催場所:小野市立コミュニケーションセンターおの(兵庫県小野市)

入場無料



ポスター


早いもので、今回で第6回目となりました。
私は例によってお手伝いだけですが、今回はメディアの取材があるかも ...

無料駐車場がありますので、ぜひ奮ってお越しください。




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Category :  Scan-Speak Illuminator Project
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我が家のメインシステムとなったScanspeak Illuminator2ウェイのスペックをまとめておきます。

型式:
SZ3

使用ドライバ:
Scanspeak D3004/662000 リングラジエータ 
Scanspeak 18W/8531G00 18cmスライスドペーパーコーンウーファー

測定ソフトウェア:
ARTA

設計ソフトウェア:
Speaker workshop

クロスオーバーネットワーク:
4th-order Linkwitz-Riley型(LR4) 24dB/oct

クロスオーバー周波数:
1.7kHz

Illuminator_NW480


エンクロージャー容積:
38L

バスレフチューニング周波数:
30Hz

エンクロージャー材料:
ウォールナット(無垢材)、ロシアンバーチ合板


軸上周波数特性(マイク距離1.5m、スムージングなし)
L=150cm_Normal_480


軸上周波数特性のフラットネス(200~20kHz、マイク距離1.5m)
FR_stdev
(単位:dB)


軸外特性(マイク距離1.5m)
Directivity_480


位相整合性(Reverse null、マイク距離1.5m)
L=150cm_Reverse_480


Cumulative Spectral Decay
CSD480


製作担当:
スタイリング:Iさん
木工:Sさん
全体設計:Iridium17

製作期間:
1年6か月


トーンキャラクター:
・『フラットなスピーカーはつまらない』は昔の話
・ぐいぐい押してくる存在感はむしろアグレッシブ
・その一方で、どんなに音数が多いソースでも混濁、歪み感は皆無
・フルレンジを超えるピンポイントの音像定位
・気持ち悪いほどの解像度(ヴォーカリストの肺の動きが見えるような...)
・ALTECに迫るサックスとトランペットの表現(ドームツィーターとして秀逸)
・海外で自作/メーカーのいずれでもScanspeakが好まれる理由が分かった

製作費:
同クラスの市販品の1/5ぐらい

製作難易度:
超たいへん。もう二度と無理...


背面



(この章おわり)



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